2013年12月06日

縄文杉と私の度量

縄文杉と私の度量

朝4時に起きて宿を出発、途中のお弁当屋さんでランチ用のお弁当をゲット。
縄文杉への登山口を出発したのが6時ごろ。

これから往復10時間の登山がはじまります。まだあたりは暗いです。最初の2時間半ほどは、トロッコ軌道沿いをひたすら歩きます。

縄文杉と私の度量昔トロッコが走っていた「枕木」を追って歩いていくのですが、これがまた何とも趣き深く、途中には清流も流れていてラッキーなことに鹿を見ることもできました。



呼吸をするたびに森のエネルギーを吸い込んでいるようでした。
森の音が、風が、香りが体に染み渡ります。

しばらく行くと学校跡があり、こういう深ぁい自然の中の学校に通えるなんて
幸せだなぁ~と、アウトドア大好きの私にとってはまさに理想の学校。
羨ましく思いました。

やがて山道に入っていくのですが、ここからが本当に大変でした。

最初のうちは、苔むした岩や倒木、空を覆い隠す樹々を見て
「さすが屋久島、沖縄とは違って森が深いなぁ~~~」、
「もののけ姫そのもの」と感激し通しでしたが、
歩けど、歩けど目標の縄文杉に到着しないんです。

途中、何度も大きな倒木の上を這いあがり前に進みます。
だいぶ陽も高くなり、そろそろ折り返し地点の縄文杉をと目指すのですが...

すでに縄文杉を見終えた団体客とすれ違うなか、だんだんと焦りを感じて
歩くペースを上げるのですが、母の歩みが遅くなり、思うほど前に進みません。

小雨もぱらつきはじめ私はだんだんとイライラしてきて、
母に文句を言い始めます。

暗くなる前に登山口に戻れなかったらどうしようという不安感が私を襲い、
母に八つ当たりしたのです。

私が母を急がせたせいで、倒木を乗り越える時に
母が左手首を痛ませてしまいました。

そのことに罪悪感を感じつつも、「もうー、何やってんのムカムカ」と
ますます腹を立てる始末。

それでも母は文句一つ言うことなく、私の後をついてきました。

「ひどい娘だなぁ」と自分の器の小ささに心苦しさをおぼえつつダウン
母との間に気マズイ空気を漂わせながら、待望の“縄文杉”に到達。

見た途端...「これは一体、樹なのか??」

ここに来る途中も、樹齢100年は超えるであろう、
立派な樹木々をたくさん目にしていたのですが、
それらの木とは比べものにならないほどの圧倒的な存在感。

うまく言い表せないのですが、
これまでの私の物事に対する価値観では、図ることのできない何かを感じました。
一言でいうと、想像を絶するというか...
そして、それはもはや、樹ではないというか...

ますます、自分の浅さや小ささを感じずにはいられませんでした。

もう少し眺めていたかったのですが、
すぐにでも引き返さなければいけない時間になっていたので、
そこで食べる予定だったお弁当もリュックから取り出すことなく
とんぼ返りで帰路に着きました。

あたりは少しずつ暗くなり始め、森には私と母だけ。
心細く不安は感じていたのですが、
「この不安な気持ちは、きちんと自分で背負わなきゃ」と思うと
不思議とさっきのようにイライラすることはありませんでした。

しばらく2人で歩いていると、少し先にガイドさんを伴った母娘がいたので、
ホッとしたのを覚えています。

そして帰りのトロッコ道で私は母に
「さっきは、八つ当たりしてごめんなさい…あたし器が小さいなぁって反省してる。」
というと、母は一言
「いいのよ」と。

「あ~、この人にはかなわないなぁ」と思いました。

登山口の駐車場に着いた頃には、辺りはすっかり暗くなっていて
車の中でお弁当を食べました。

後日、この話をある友人にすると
「俺もまったく同じ経験したよ。一緒に行った友人の懐の大きさに救われた。」

「縄文杉への道中って、その人の度量が試されるんだよね」
「カップルはある程度、覚悟していくべき!! 成田離婚じゃないけど。(笑)」
と話したのを覚えています。

屋久島最終日は、
確か、海の中にある温泉に浸かりに行きましたがあまり記憶してません。

最後に、これは縄文杉へ向かう途中に母を撮影したものなんですが、
何かを連想させませんか...『となりの…』
縄文杉と私の度量


















Posted by 富元 祥子 at 08:30│Comments(0)
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